書評

中公新書「トルコ現代史」(今井宏平著)を読んで

キルギス共和国は、トルコと緊密関係にあるということに気づくようになったのは最近でした。ビシュケク市内に最初にできたモールはトルコ資本で、独立した後に最初に外交関係を結んだのもトルコです。キルギス語とトルコ語は「テュルク[...

「森のひみつ木々のささやき―ふつうの人が森へ行く日」 (小山浩正著)

故人・小山浩正くんの遺稿シリーズ  大学の同級生で、1年目の教養学部時代から同じ学科に移行し、同じ研究室(造林学講座)で共に過ごした小山くんが癌で亡くなってこの3月(2018年)にもう2年が経とうとしています。山形大学農...

大学の大先輩・梶光一東京農工大学名誉教授の著書を読んで・その2

 先日オランダ通信で紹介した日本の鹿研究の第一人者である梶光一先生の著書『ワイルドライフマネジメント』ですが、「なんでクマやシカが人里に出てくるようになったのですか?」といった質問がオランダ通信を読んだ方から届きました。...

大学の大先輩・梶光一東京農工大学名誉教授の著書『ワイルドライフマネジメント』を読んで:その1

 今年(2025年)春の盛岡滞在時ですが、4月2日に盛岡駅近くで熊出没騒ぎがあり、別の日には、鹿の罠が掛けられるところを徘徊している熊とそれを貪り食う画像がテレビで放映されるなど野生動物と人間の関わり方が気になっていまし...

「バッタを倒しにアフリカへ」 (前野ウルド浩太郎著)

 このタイトルからしてワクワクしてくるではないか?と帰国間際の成田空港内にある書店でこの新書を見つけた時に思ったものです。定期購読している日経ビジネスの書評欄でも紹介されており、一時帰国したら是非手に取ってみたい!と思っ...

「コーヒー、カカオ、コメ、綿花、コショウの暗黒物語」・再読(ジャン=ピエール=ボリス著)

 ほぼ10年前の2008年6月に創成社新書から『世界に広がるフェアトレード』という本を出版してもらった時のサブタイトルが「このチョコレートが安全な理由」でした。その当時から、日本はチョコレートの原材料となるカカオの輸入大...

シルクロードの英語本 “The Silk Roads; A new history of the world”

 “The Silk Roads; A new history of the world”というタイトルに惹かれて思わず、この春キルギスに渡航する際に立ち寄ったスキポール空港の本屋で衝動買いをしてしまった一冊です。買った...

世界は「使われなかった人生」であふれている

気になる日本のモノ書き  海外にいると、日本の活字に何となく飢えている自分に時々気づきます。ネットでいろんな記事やエッセイなども読めますが、やはり本や雑誌のように手にとって読みたくなるのは、昔からの習慣?と勘繰りたくなっ...

現場読み「玄奘三蔵、シルクロードを行く」

キルギスの日本センターには中央アジア関係の本が結構置いてあり、いつも気になっていました。今回の滞在中に、ふとタイトルに惹かれて手に取ったのが、岩波新書の「玄奘三蔵、シルクロードを行く」です。著者の前田耕作氏は、名古屋大学...

三宅一生の仕事を考える

ふと偶然にユトレヒト市内の本屋で手にしたのが、英語と日本語のバイリンガルで書かれた『Issey Miyake 三宅一生』 これまで包括的に彼の作品や思想、背景を説明できるメディアがなかったからまとめたとイントロに書かれて...