ケニア山周辺トレッキング (2023年11月3〜6日)

2023年11月30日

 ケニア最高峰は5000mを超える(Batian;5199m)のですが、通常はLenana峰と呼ばれる4985mの登頂を目指してツアーを組みます。今回のメンバーはテニス部の4名で、リーダー格の吉田さんだけが経験者。篠崎夫妻はほぼ初心者、私はしばらく本格的な山登りから遠ざかっていたロートルというメンバーでした。それぞれがプレ山行(篠崎夫妻はLongnot山、私と吉田さんはSatima山にそれぞれ出かけました)を行い、当日に備えたのです。

 今回の山行ガイドは吉田さんが前回お世話になったクリスさん。ナイロビ市内を朝6時過ぎに出発ということで、国連近くのガススタンドで待ち合わせ。迎えにきた車は、走行距離がまだ2500キロの新中古車のトヨタ車で、幸先がいいなあと思えました。しかし、北上するにつれ、雨足が激しくなり、ポーターとかを招集するChogoriaに到着した時はどんより雨雲が漂っていました。ここからはジープに乗り換えて山道を入る予定でしたが、予定しているジープが他の登山客を迎えに行っていて、どうやら立ち往生しているとの連絡。仕方ないので近くのレストランに入って軽くお昼ご飯を食べながらジープの到着を待つことに。

 そうしているうちに雨が上がって空が晴れてきたではありませんか!ラッキーと思い、オンボロでヨタヨタのランドローバーに乗り込んで出発したのが午後1時過ぎ。キャンプ場には4時くらいに着けそうだと楽観視していたのですが、実はこのポンコツイギリス車は馬力が出ないのです。乗客も9名のポーターや我々4名、そして荷物を含めるとかなりの重量で、途中でエンコしてしまうというオチがつきました。仕方なく、日本人4名とガイド(クリスさんは急遽ナイロビに戻ることになり、別のガイドが同行)と一緒にナイロビから乗ってきたトヨタ車に乗り込んでぬかるんだ道を上って行くことになりました。この道路は林道みたいになっており、22km先にキャンプ場があるとのこと。ゆっくり車が上っていたところ、別のランドローバーが反対から下りて来て、ポーターたちを搬送できそうだとなったので、とりあえずホッとしました。12km進んだところで、トヨタ車を降りて、身軽な我々は歩くことに。これからが意外と大変でした。雨が降り始め、道も結構急登。ゴアテックスの雨具がある私と違って、篠崎夫妻は、ナイロビ市内のスポーツ店で購入した廉価な雨ガッパ。休みながらようやく1泊目のキャンプ場に着いた時はヘトヘトでした。

 実はポーターたちは先に車でキャンプ場入りしており、我々のテントも張っておいてくれたのですが、よく見ると木造のロッジが立ち並んでおり、ガイドに聞くと空室があるというので、値段も聞かずに2部屋確保してもらいました。これが実は大正解。暖炉もあり、なんと温かいシャワー(ドラム缶と薪で温めている)が出るので、篠崎夫妻は大喜び。夕食もシェフが張り切って作ってくれて、野菜ポタージュに、ジャガイモと魚フライに野菜の付け合わせという、身体が温まるメニューでホッとしました。初日の夕食時に旦那の篠崎さんは、実は野菜嫌いだということが分かり、これからの道中もどうなるのか不安でしたが、お腹が減れば出されたもので対応するしかない!ということが後々分かって来たのでした。

 やはりケニアの雨季に登山を企画したのは無謀だったかなあ、と少し反省しつつ翌日の天気が良くなければこのロッヂに連泊(停滞)して、ナイロビに戻ることも検討していたのです。2日目は、早朝4時には雨が降っていたのですが、朝ごはんを食べた頃から、なんとスカっ晴れ。ポーターも気分良く登り始めて、我々も同行することにしたのでした。雨のため、川が増水していて橋が水面下だったことから、靴を脱いで渡渉したのが1箇所。その他は全く問題なく、標高3450mにあるEllis湖の湖岸に2日目のテントが設置されたのでした。ポーターは釣りを許可無しでも出来るということで、いつの間にか2匹のニジマス(30cm強)を釣り上げて、そのうち1匹が唐揚げで夕食の一品として出てきました。焚き火をしながら天の川を眺めて、本当に晴れてくれてありがとう!と感謝の気持ちで一杯になりながらテントと寝袋で2泊目を過ごしました。

 しかし、天候に恵まれたのはこの2日目のみ。3日目はベースキャンプとなるMintoHutを目指したのですが、朝10時以降から霧雨となり、黙々と登ったのです。標高4200mにあるキャンプ場にはトイレとポーターたちのキッチンがあるのみ。テントを張ってその中で過ごすことになり、高山病が出ないかどうか不安になりながら夕食を食べたのでした。野菜嫌いな篠崎旦那も、この日は野菜スープを文句を言わずに食べ、翌日の登頂に備えていたのですが、奥さんが少し頭痛があると訴え、天気もあまり期待できそうになかったので、今回はLenana峰登頂を断念するということで、ガイドに相談にしたところ、同意を得たのでした。

 そして、4日目。朝3時に起きて出発ということだったのですが、雪が降り始めテントにもどっかり湿った雪が積もってしまう状況となり、無事ここを脱出して下界まで行くことを優先させようとなりました。雪道はなかなか上りも下りも大変で、靴があまりしっかりしていない篠崎夫妻は、えらく苦労したのですが、4620mのSimba峠に着いた時は、眼下にMackinder渓谷が広がって見えてホッとしたものです。時折日が差して、ケニア最高峰であるBatian峰の頂上も眺めることが出来ました。遅い朝ご飯をShinptonキャンプ場で食べたのが10時すぎ。ここまで降りると天気も良く高山病にも悩まされることなく、下山を進めることが出来たのですが、迎えの車が来ているMozesキャンプ場までは登ったり降りたり、ぬかるみの湿地帯で足を取られながら進んだりと、結構苦労しました。同じトヨタ車に乗って舗装道路に出た時は、疲れがどっと出たものです。かくして4日間のトレッキングは無事終わって何よりでした。ケニアの大自然と綺麗な植物(高山植物は見事です)を堪能した貴重な体験となりました。