「農家婚活が人気番組」岩手日報No.742号

「農家婚活が人気番組」岩手日報No.742号

 昨年冬に盛岡に一時帰国していた際、テレビ番組で農家の30代未婚男性が相手探しに苦労しているという報道を目にした。昨今のマッチングアプリを利用したり、地元自治体主催の交流会など「婚活」に参加するも、手応えが感じられないと嘆いていた。

 そこでふと思い出したのが、オランダで2004年11月からほぼ毎年放映されているオランダの長寿テレビ番組「Boer zoekt vrouw(直訳:農夫が妻を探しています)」だ。実は農業と結婚、仕事と人生の両立という普遍的テーマを取り上げたオランダ公共放送制作の番組。落ち着いた演出、長期的なカップル成立実績で「国民的番組」となっている。

 オランダでも他国と同様に、農家の人々が結婚やパートナー探しに苦労するという社会状況がある。農業は地方・郊外に仕事と生活の場があるため、都市部に比べて出会いの機会が少なく、農家の独身率が高いことから、「地域と職業ならではの孤独感」に着目した。

 恋愛の舞台が「スタジオ」ではなく「農場=生活の場」でオランダの農村社会や農業のリアルな姿にも触れつつ、農作業、家畜の世話、早朝作業、天候トラブルといったリアルな日常を通じて、婚活者の人柄・価値観・相性が浮き彫りにされる。

 放映当初は主に 男性農家が結婚相手の女性を探す内容だったが、女性農家が男性を探すパターンも加わり、番組の幅が広がった。基本的に10人の農家が出演し、放送局に参加希望の視聴者らが手紙やオンラインで応募する形という。

 各農家が複数の候補者からパートナーを2名までに絞り込み、農場での共同生活を経て、最終的に1名と週末旅行などを通して深い関係を築く、という構成。女性の婚活者には数百名の応募があった時もあった。

 この番組は「結婚」ではなく、「どんな暮らしができるか」を見せるよう工夫されており、農業従事者の職業観や魅力を再認識させる役割も果たしてきた。

 多くの視聴者が農村や農家の生活に共感することで、若い世代が地方での生活を前向きに考えるきっかけになるという意義も指摘されている。2022年の特番では、「2004年以降、103人を取り上げ、その内85人が安定した関係を築き、番組をきっかけに生まれた子どもは90人」と発表、この番組が縁で一緒に暮らしている家族を個別訪問した内容が放映された。

 昨シーズン(2024〜2025年)からは、手紙枚数の公表は行われなくなり、出演者も6名に絞り込まれ、参加者同士の交流の様子が見せ場になっている。今後どんな展開が見られるのか楽しみである。

番組のウェブサイト
https://boerzoektvrouw.kro-ncrv.nl

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