反戦デモ行進に参加する(デン・ハーグにて)

 この5月18日日曜日に、オランダ・デンハーグの中心部で、イスラエルに対するオランダ政府の立場とパレスチナ・ガザ地区での戦争に抗議する大規模なデモが行われ、主催者によれば約10万人が参加したとのこと(もっと多かったのではとの推測も)。このデモは、オランダにおける過去20年間で最大規模とされ、デモ参加者は赤い服を着ることが事前に推奨されており、「レッドライン(Rodelijn:越えてはならない一線)」を象徴的に表現することを目的とした行進がデン・ハーグ市内で午後いっぱい繰り広げられ、町中が赤く染まりました。行進はハーグ中央駅側のマリ広場から国際司法裁判所のある平和宮まで続き、その後市内を練り歩いてマリ広場に夕方戻りました。ちなみに同裁判所ではイスラエル首相らに対するジェノサイド(集団殺戮)訴訟が進行中です。

 この反戦デモ行進は、アムネスティ・インターナショナルや国境なき医師団、オックスファム、そしてSave the Childrenなど複数の人権・支援団体によって組織され、警官が見守る中、平和裡に終わってホッとしました。実はこれらの団体は4月にもオランダ政府と対話したのですが、外交的対応に消極的な政府の姿勢に失望を示していました。この5月になってようやく、ヴェルトカンプ外相がイスラエルの人権侵害に対してEUによる調査を求めるなど、より厳しい姿勢を見せています。一方で、オランダ政府は依然としてイスラエルの自衛権を強調し、経済制裁など具体的な圧力を回避しており、連立与党の一つである極右政党PVVの親イスラエル的立場に配慮した結果ともみられてます。

 マリエッタの誘いを受けて、なんとなく好奇心で参加した今回のデン・ハーグでの反戦デモ行進。振り返ってみれば、オランダの政治情勢やウクライナを取り巻く各国での戦況、そして人権問題について自分なりに考える良い機会となりました。行進中に、見知らぬ人と立ち話をしたり、バッタリ知人(隣家のお嬢さんとか)に会ったりという楽しみ。当日夜のニュースでは、デモ参加者へのインタビューが放映されたのですが、デモ行進に初めて参加したと答える人が半数近くいたのにはビックリしました。一般市民もキナ臭くなっている昨今の情勢に、オランダ人たちも、これまで以上に危機感を持っているのでは?と思ったところです。