世界は「使われなかった人生」であふれている

気になる日本のモノ書き

世界は「使われなかった人生」であふれている

 海外にいると、日本の活字に何となく飢えている自分に時々気づきます。ネットでいろんな記事やエッセイなども読めますが、やはり本や雑誌のように手にとって読みたくなるのは、昔からの習慣?と勘繰りたくなったりします。そんな中、気になる日本のモノ書きの一人が、が、沢木耕太郎。大学生の頃、海外放浪を夢見ていた時に読み漁った本の中に、「深夜特急」がありました。実は定期購読している「暮しの手帖」にしばらく映画批評を書いていて、いつも楽しみにしていたのですが、数年前に連載が突然打ち切りになり、その抗議レターを編集部に出したことがあります。そんなことを思い出させたのが、次の本「世界は使われなかった人生であふれている」です。

 この本は、キルギス日本センターの蔵庫ですが、手にとってみると、出版社が同じく暮しの手帖と知り、嬉しくなり早速借りました。連載を受ける際のエピソード(編集部の二井康雄から何度も誘われて断っていたけど、一回だけということで引き受けたら、70回以上も連載することになった等)や、映画批評を書くために試写会に出かけるのが最初は億劫だった(タダで見れるのだから羨ましい!と思うのは浅はかかもしれません)など、裏話が結構書かれていて少し意外な感じがしました。他にも気になる日本のモノ書きはいますが、また機会を改めて触れてみたいと思います。

(オランダ通信 2017年4月号 *2017月3月31日発行から)
出版情報:暮しの手帖社 (2001)

界は「使われなかった人生」であふれている(沢木耕太郎著)