「干ばつ対策 広く発信」岩手日報No.692号
2023年10月11日
日本でも酷暑となり、昔はエアコンが無くても夏には快適な暮らしができていた岩手県でも連日の暑さが今年は続いていた。実家でも今年からエアコンを設置してもらい、暑気払いをするようになった。
ところ変わってアフリカでも気候変動の影響はいたるところで出ている。乾燥地が大陸のほぼ半分を占めるアフリカでは、住民が生活を維持する上で欠かせない水の確保が死活問題である。国際協力機構(JICA)ケニア事務所に赴任してから担当となったプロジェクトの一つがケニア北西部にあるトゥルカナ郡での水資源確保ならびに持続的な生計向上を目指して、牧畜民が多い乾燥地帯で干ばつ対策に取り組むプロジェクトであった。そもそも2011年にエチオピアなども含めてアフリカの角と呼ばれる地域で大干ばつが生じたことから、JICAも緊急援助に関わった地域で、その後右往左往を経て、現在は食と栄養改善に焦点を当てたプロジェクトを昨年3月から5年間の予定で実施中である。国連機関も様々な協力をしている。世界食糧計画(WFP)、国連難民高等弁務官(UNHCR)がそれぞれ同郡に拠点を置いて地道ではあるが不可欠な援助を現地政府とともに継続している。
そのような中、ケニア・ナイロビで気候変動サミットが開催された。我々もこれまでの取り組みを外部のみなさんに知ってもらういい機会だと考え、同僚のグギさんとサイドイベントを企画。9月5日火曜日朝からの開催にこぎつけた。
ケニアの事例だけでなく、アフリカ全体にも触れるということで、共催者を探していたところ、おなじくトゥルカナ郡で国連児童基金(ユニセフ)が実施している水と衛生(WASH)のプロジェクトに資金援助をしている韓国の援助機関であるKOICAが前向きに関わってくれることになった。
本番一週間前、国連総長を務めたバン・キムン氏など20名近い外交団がこのサミットに参加するらしいという噂を聞いた。会場の下見をした際には在ケニア韓国大使が説明を聞きに部下を5名ほど連れて参加来ていた。
当日は、朝9時からの開始にも関わらず120名定員の会場がほぼ満席となり、JICAケニア事務所長が開会、韓国外務省副大臣(気候変動対応)が閉会の挨拶を行い、会場からも多くの質問があるなど盛大に終わることができた。
今回のサミットには、各国代表団や、米国ケリー大統領特使やウルズラEU委員長、国連グテレス事務総長なども出席し、最終日にナイロビ宣言が出された。宣言はアラブ首長国連邦(UAE)で開催予定のCOP28におけるアフリカ地域の対外交渉の基本スタンスとして位置付けられている。
そんなこんなで無事サミットも終わり、また現場の仕事に専念しようと思っているこの頃である。



