「オランダの少年サッカー」岩手日報No.286
2014年10月26日
今年ブラジルで開催されたサッカーのワールドカップで3位となったオランダは、昔からサッカーとスケートが盛んな国で、プロサッカーリーグでは、日本からも小野伸二や本田圭佑らが選手として活躍し、国際的にもレベルの高いチームがいくつかある。人口が日本の約7分の1という規模ながら、サッカー先進国として頑張っているのも、少年サッカーのあり方によるところが多いように思われる。
日本のように学校体育チームは小中高とも存在せず、サッカーや水泳、テニスなどを青少年がする場合、地元のクラブチームに所属する場合が多い。ユトレヒト市(盛岡市より大きめの人口31万人)には、現在31チーム(五つは休止中)がある。すべてのチームには専用グラウンドがあり、フルコートを最低4面程度持っている。基本的に市がグラウンドとクラブハウスを建築し、クラブチームが市から借り受けて管理を行う形態だ。
また、幼稚園児から大人までのチームを持っており、どの年に生まれたかで基本的にチームが振り分けられている。例えばAチームは、基本的に17、18歳、長男(現在15歳)が所属するBチームは15、16歳が中心だ。同じ年代でも人数が多いと複数のチームができ、A1、A2、A3などとなる。
日本だと、部活動などでも放課後毎日練習しているが、オランダの場合練習量は日本に比べて圧倒的に少ない。基本週2回各1時間程度で、1軍の場合、週3回練習をしていることもある。しかしながら、成長する子はどんどん成長していくから面白いものだ。
今年6月、ペルーからオランダに戻り、長男がサッカーチームに入りたいというので、近所のクラブを探していたところ、6年前まで所属していた地元のDVSUチームに空きがあるとの連絡をもらい、夏休み前に登録した。8月中旬から練習が始まり、実は選手の親がいろんな形でクラブチームの運営に関わっていたことが分かった。チームのWebサイト管理とか、試合当日の審判や線審、クラブハウス内にあるカフェテリアでのウエーターなどいろんな仕事がある。
長男が所属することになったB3のチームは、グループリーダーのポジションが空席になっていた。知り合いのコーチらに相談し、自分でも務まりそうだと感じたことから、妻に相談したら「いいんじゃないの」とあっけない返事。結局、グループリーダーを引き受けることにした。オランダ語のサッカー用語集を探し、少年サッカーのウェブサイトを検索し、ルールなども一通り目を通し、練習もなるべく見学するようにしている。 何しろスポーツと言えば野球という世代で、ほとんどサッカーをやったことがない私のような父親が、15、16歳の少年たちをまとめて試合に臨ませるというのだから、無謀かもしれない。だが、他に引き受け手がいなかったし、これも異国オランダでのチャレンジかと開き直ることにしている。
