「ツール・ド・フランス」岩手日報No.296
2015年1月11日
オランダでは自転車は生活の足として人気があるだけではなく、スポーツとしても人気がある。週末の自転車専用道路はヘルメットをかぶり、自転車専用ユニホームを着込んで風のように横をすり抜けていくグループを多く見かける。こちらがのんびりと脇見をしながら自転車に乗っていると、ぶつけられるのではないかとヒヤヒヤする。
私自身はあまり興味がないが、プロの自転車ロードレースは、欧州でサッカーに次いで人気あるスポーツだ。中でもツール・ド・フランスが開催される7月は、オランダのテレビでも毎日実況中継があり、夜のニュースでその日の区間賞などが発表されたりする。ツール・ド・フランスは、フランス語で「フランス一周」を意味し、3週間にわたりアルプスやピレネー山脈の標高2千㍍以上の峠をいくつも越え、フランスを一周する。2013年には記念すべき第100回大会が開催され、日本でも「世界最大の自転車レース」として認識されているようだ。
ご存じの方も多いかもしれないが、このレースは開幕の出発地が毎年変わり、昨年は英国北部のリーズ、13年はフランス南部のコルシカ島、12年はベルギーのリエージュだった。
そして、今年は何とオランダのユトレヒト市が選出され、7月4日に火ぶたが切って落とされる予定である。同市役所などが熱心に誘致活動を行ってきたうれしい成果といえよう。開幕初日から2日間かけて、ユトレヒトから南下し、商業都市ロッテルダムを通過し、南西部の海岸部を抜け、ゼーラントまで合計約180㌔を進む行程で、この後、舞台をフランスに移す予定となっている。ちなみに15年の総距離は3344㌔で、日本列島縦断の距離(約3千㌔)に匹敵する。
実は、この伝統的なスポーツ行事であるツール・ド・フランスも、1999年から7連覇した米国人のドーピングスキャンダルなどで一時期は人気が低迷していた。ドーピングに関しては、オリンピック選手がよく話題になる。ロシアのソチで昨年2月に開催された冬季オリンピックでもロシア選手の大活躍の裏には、国家絡みの大規模なドーピングがあったという証言がオランダの新聞にも載ったりしていた。
13年までの100回大会までの総合優勝者は、国籍別では開催国フランスが36勝と最も多く、次いで隣国ベルギーが18勝、スペインが12勝と続く。オランダ国籍の選手もこれまで2勝(1968年と80年)しており、毎年3度目の優勝が期待されるがかなわぬままである。今年は、ドーピング疑惑などがないクリーンな大会で、オランダ選手の健闘をぜひ期待したい。
