「オランダ・アムステルダムで、帆船が集まるイベントが開催」岩手日報No.330

2015年9月13日

エクアドルのグアヤス号。多くの観客を魅了した
エクアドルのグアヤス号。多くの観客を魅了した

 アムステルダム帆船祭り(セイル・アムステルダム)は、世界各地の船がアムステルダムに集う世界最大規模の帆船のお祭りだ。1975年にアムステルダム市700周年を記念して行われ、以来5年おきに開催されており、9回目を迎える今年は、ポルトガルやドイツ、フランス、スウェーデン、ノルウェー等欧州諸国のみならず、コロンビアやチリ、ロシアなど様々な国の合計63隻の帆船が、8月19日から23日まで停泊した。アムステルダム中央駅の北部に広がる港湾地帯を自由に歩きながら、気になった帆船に無料で乗船できる。屋台での飲食やライブバンドの演奏、港を一望出来る観覧車など、まさにお祭り騒ぎ。5日間の開催期間は天候に恵まれたこともあり、見学者は約230万人と5年前の170万人より50万人も増えた。ちなみに初年度の1975年は述べ70万人の見学者だったと言うから、年々人気が高まってきたことが伺える。

 「水の都」と呼ばれるアムステルダムでは、昔から水上交通が盛んで、街中に張り巡らされた運河からも分かるように、アムステルダムの町の発展には水路が欠かせなかった。また、17世紀のオランダ黄金時代には、アムステルダムが世界の海洋貿易の中心で、東インド会社が隆盛を極めていたという歴史もあり、まさにこのようなイベントを実施するにもってこいの街ともいえよう。

 実は、妻のマリエッタも2回目が開催された1980年に在オランダ・エクアドル大使館からGuayas(グアヤス)号のレセプションに招待され、家族で乗船したことがある。懐かしい再訪でもあり、当時知り合った船員の名前を出して、甲板にいた現役の船員にその消息を尋ねてみたりしていたが、残念ながら分からずじまいだった。

 このGuayas号は、ほぼ140年前の1876年にスペインで建造された全長が79mの練習帆船で、横浜みなとみらいにある帆船日本丸より若干小さめだ。多くの帆船がレプリカや20世紀になって建造されている中で、最も古い帆船の一つでもある。今年2月にエクアドルの港町Guayaquilを出発し、パナマ運河を5月に超え、ニューヨークを経由し北欧に寄港しながら、アムステルダムに来る前はドイツ北部のブレーメンに1週間弱滞在していた。アムステルダムの後は、イタリア等に寄港しスエズ運河を超え、年末にインドネシアからオーストラリアに渡り、来年2月にエクアドルに戻るという、まさに世界一周のスケジュール。甲板では、ガラパゴス諸島等への観光旅行の宣伝や、名産品の販売もしており、物産展のような人だかり。まるで万博の各国パビリオンみたいだった。

 アムステルダムには海洋博物館があり、オランダ東インド会社の帆船アムステルダム号(レプリカ)が通常見学可能であることから、機会を改めて見学に行こうと思っている。5年後の2020年にはどんな帆船がくるのか、今から楽しみだ。