「女子サッカー」岩手日報No.421
2017年9月17日
オランダでこの夏、欧州サッカー連盟(UEFA)主催のサッカー欧州女子選手権が開かれた。開催国の優勝というお祭り騒ぎになり、東日本大震災が起きた2011年に日本がドイツで開催されたワールドカップで優勝した時の熱狂ぶりと高揚感を思い出した。これまでオランダでは日陰の存在だったが、世界一となった「なでしこ」が脚光を浴びて日本で女子サッカー熱が高まったように、勢いがついてきている。
この欧州女子選手権は1984年にスウェーデンで初開催され、今年で12回目だった。16カ国が参加してユトレヒトなど7都市を会場に8月6日にかけて熱戦が繰り広げられた。準決勝、決勝の舞台となった東部のエンスヘーデは、オランダ女子プロサッカーの先駆けとなったFCトゥウェンテの本拠地で、代表を5人選出したことからも分かるように女子サッカーを地道に育ててきたゆかりの地でもある。
隣国ドイツがこれまで8回の優勝と圧倒的であったことから、下馬評でも開催国のオランダの活躍はあまり期待されておらず、マスコミでの露出度も低く(ちょうど自転車のツール・ド・フランスが開催されておりそちらの報道がメインだった)、サッカーが盛んなオランダでもこんなもんなんだなあと傍観していた。
しかし、準決勝で優勝候補の英国(世界ランク5位)に3-0で圧勝したあたりから一般オランダ人の関心も高くなった。決勝戦は首相や大臣らも現地観戦。テレビ中継の観戦はおよそ550万人だったというからその熱狂ぶりが分かる。
対戦相手は強豪ドイツなどを破ってきたデンマーク。開始早々、オランダがPKを許し0-1となるも、すぐに追いつき、前半は2-2の拮抗(きっこう)した状態で終える。後半はテクニックで勝るオランダが押し気味で進め、気がつけば4-2の完勝。かくして初優勝を決めたのである。
テレビ中継を見ていて新鮮に感じたのは、レフェリーや線審も女性だったことだ。オランダの監督も女性で、これまでのサッカーは男社会だったなあと気づいた次第。でも表彰式でメダルを選手に授与した大会運営委員会のメンバーは全員男性。この辺のジェンダーバランスはまだ改善の余地があるのだろう。
