「アムステルダム・コーヒーの祭典」岩手日報No.447
2018年4月29日
日本人が「お茶をする」という感覚で、オランダ人はコーヒーをよく飲む。平均で1人1日当たり2・2杯飲んでいるのと統計があり、昔から街の至る所にカフェ文化が根付いている。
アムステルダムでは3月上旬、コーヒーの祭典(入場料は15ユーロ)が毎年開催される。今年もやじ馬根性を出して参加してみた。
カプチーノのアート部門(出された画題を制限時間内でコーヒーの表面に模写する)や、自家焙煎(ばいせん)の豆を競うコンクールなど催しはより取り見取りで、会場は関連業者や一般客でごった返した。全体的に若い年代向け。夕方にはバンド演奏もあり、コーヒー好きにはたまらないお祭りだった。
私のお目当てはコーヒーラボと呼ばれる屋外に設置されたガラス張り温室での講演会。サミットと呼ばれるようになった今年もためになる話が多かった。中でもロンドンのジェフリー・ヤングさんによる「第五の波」の説明が興味深かった。
日本でもコーヒーの「第三の波」が静かなブームを起こしたのはつい最近である。第三の波とは、コーヒーが「カップに運ばれるまでのトレーサビリティ(産地や農園、精製方法など)が明確である、高品質なコーヒー豆の風味や特徴を楽しもう」という流れで、ユトレヒト市内にもこの手のカフェがここ2年にかなりオープンしてそれなりに固定客を確保している。
第五の波コーヒーは「過去20年間にわたり、カフェ市場の進化におけるこれまでの四つの波を参考にしながら進化させた新しいコンセプト」という売り込みで、ちょっとおしゃれで高級感のある「ブティック」コーヒーを目指すというもの。少し怪しげだが、これまで在り来たりのコーヒーしか出せていなかった高級レストランからの問い合わせが増えていて、今後の展開が楽しみでもある。
数ある催しの中にオランダらしいと思うものもあった。自転車をこいでそのエネルギーでお湯を沸かしてエスプレッソコーヒーを抽出するという企画で、私も挑戦してみた。必死でこいだら5分後に水が90度まで上がり、10種類以上から自分好みの豆を選ぶとその場でひいてくれ、出来上がりを飲めるという流れ。アイデアを出して実現するまでに2年間かかったというオーナーは「来年はもっと面白い機械を作るつもり」とうれしそうに説明してくれた。来年が楽しみである。
