「和太鼓キルギス」岩手日報No.367

2016年6月26日

 昨年、開所20周年を迎えた首都ビシケク中心部にあるキルギス共和国日本人材開発センター(KRJC)は、これまでもさまざまな企画で、ビジネス人材育成や文化交流等に取り組んできている。その一つに毎年の恒例行事となった「さつき祭り」がある。

 今年は6月12日にセンター裏の広場を会場に開催され、体験ブースでは、けん玉や福笑いなどの伝統遊び、折り紙、書道、囲碁、浴衣着付けなど日本文化の体験ができるようになっていた。

 飲食ブースと販売ブースでは、国際協力機構(JICA)一村一品プロジェクトが支援する生産者組合が製作した手工芸品や加工食品、KRJCビジネスコース修了生の企業で製造されている菓子や飲料などが販売され、ちょっとした学園祭の様相。木陰には野だてコーナーもあり、心得のある青年海外協力隊員が茶をたてて、通りがかりの人々に振る舞っていたのも印象的だった。

「大江戸太鼓」による和太鼓演奏。見事なたたきぶりだった
「大江戸太鼓」による和太鼓演奏。見事なたたきぶりだった

 昨年までは通常5月に開催されていたこの祭りも、今年は5月26日から2日間開かれた伊勢志摩サミットの影響を受けた。テロの対象となりかねないとの懸念から、キルギスのみならず、世界各地で日本関係の行事やお祭りが中止もしくは延期されたとのこと。

 ただし、災い転じて福となすというわけではないが、今年のキルギスは異常気象故か5月は雨がちな毎日だったことから「6月開催となってかえって良かったのでは?」との声も聞かれた。

 当日は好天に恵まれ、日差しを避けるようにしながらキルギスの観客が食い入るように見入っていたのが、キルギス人日本文化愛好者によるパフォーマンス。武道模擬演武では6団体がそれぞれ柔道、剣道、合気道、相撲、居合道、空手道を披露し、盛り上がった。

 しかし私が個人的に感激したのは、KRJC所属の太鼓グループ「大江戸太鼓」による和太鼓演奏。立派な太鼓が野外に並ぶだけでも迫力があるのだが、演奏も本格的。週2日の練習を欠かさずにこの日のライブを目指していただけあって、見事なたたきぶり。キルギスの青空にその音色が広がる醍醐味(だいごみ)を楽しませてもらい、大満足であった。

 このような行事を通じて多くの親日家が増えていくのかもしれないと改めて文化交流の重要さを感じた一日であった。