「キルギス首都ビシュケク市内のカフェ」岩手日報No.455

2018年7月15日

 キルギス人はお茶が大好きで、地方巡回をしていてお茶に誘ってくれることがよくある。そして「緑茶、それとも紅茶」と聞いてくれる。緑茶が飲めるのは、やはりアジアだなあと思うが、彼らはたくさん砂糖を入れて飲んでいる。文化の違いを感じるが、こういったさりげないおもてなしはうれしい。

 キルギスに通い始めて3年になるが、首都ビシュケクでは今、カフェが乱立状態だ。去年暮れには「MURAKAMI」という名の店がオープンし、巻き寿司なども提供していたが、残念ながら半年後に閉店してしまった。

 固定客をつかまえているのが、ロシア大使館隣のSIERRA(シエラ)である。スペイン語で「山脈」を意味するこの店は、ビシュケク市内に支店がほかに3カ所あるが、私がよく利用するのは、テラスもある街中の店だ。

 うれしいのは日替わりでケニアやグアテマラ、ブラジル、エチオピアという4種類のコーヒーが提供されること。店内ではフィルター用に豆もひいてくれる。4月までは飲み放題だったが、残念ながらこのサービスはなくなってしまった。

Sierra カフェ店内

 カフェはWi―Fiも完備し、欧米の観光客やトレッカーのたまり場にもなっている。週末に少しのんびりしたい時は、雑誌や本を持ち込んで、朝ごはんセット(ビック・ブレックファーストと呼ばれている)に搾りたてのオレンジジュースを追加注文するのが、私のささやかなぜいたくだ。

 これでコーヒーも付いて500ソム(約750円)。お昼ご飯向けのサラダやハンバーガー、夕食になるステーキなども提供しており、時々ライブ演奏も行われている。

 オーナーはキルギスの自然に魅せられたニュージーランド出身の夫婦。2010年からビシュケクでのコーヒー焙煎事業を企画し、今では市内の高級ホテルにも卸しているという。

 店は現地スタッフが運営し、オーナーに会ったことはないが、店内には世界地図が貼ってあり、きっとオーナーの企画なのだろうと思ったりする。客が自分の出身地をカラフルで小さなピンで刺していくのだが、アフリカや中南米にもピンがあり、幅広い客層にはびっくりする。  旧ソ連諸国といえば、共産主義で古めかしいイメージを思い浮かべがちだが、1991年の独立から27年。若いキルギス人はこういうカフェ文化に親しみ始めているのかもしれない。