「ナイロビ」岩手日報No.577

2021年1月10日

 アフリカ東部に位置するケニアの首都ナイロビは標高が約1670mということもあり、赤道直下ではあるが、温暖な気候で過ごしやすいとされている。夜中に新月を見上げたら、日本や北半球と形が違った。見慣れた縦長ではなく、横長の新月が浮かんでおり赤道に近いことを実感した。今度地方に行ったら南十字星が見えるかもしれない、とちょっと期待している。

建設ラッシュのナイロビ市内
建設ラッシュのナイロビ市内

 6年間過ごしたオランダを離れ、国際協力機構(JICA)の企画調査員として赴任したのが昨年の12月6日。以前に短期出張でタンザニアとナイジェリアに赴いたことがあるが、アフリカ大陸での長期滞在は初めてである。

 大きくなった子どもたちをオランダに残して妻マリエッタと過ごすナイロビ市内の生活はいまだいろんな意味で新鮮で驚きも多い。

 人口が約400万人と比較的多く、東アフリカでは随一の都会で高層ビルも立ち並ぶ街並みだが、思ったよりも緑地帯が多く、街路樹も整備されているのが印象的である。

 ちょっと郊外に出掛ければ、緑豊かな公園が幾つかあり市民の散策路となっている。また、車で30分ほどの距離に位置するナイロビ国立公園はサイやキリン、シマウマなどの野生動物が車から見物できるサファリパークでもあり、われわれが訪問した日曜日には、地元のケニア人家族が多く訪れており、ナイロビ市民にも広く利用されていることが感じられた。

 とはいえ、建設ラッシュでそれまでは川沿いの緑地だった区域を開拓して巨大なマンションが至る所にできつつあり、街中はちょっとした開発バブルである。そして街中の交通渋滞。コロナ禍で小中学校が休校しており、在宅勤務をしている勤め人が多く普段よりは交通量が少ないとされているのだが、それでもナイロビ市内の朝晩の交通渋滞は他の開発途上国と同様の悩みである。

 現在はウイークリーマンションのような施設に仮住まいしている。これからしばらく住むであろうアパートを探す上で、この交通渋滞はどうしても考慮せざるを得ない。条件としてJICA事務所からなるべく近く、混雑が予想される主要幹線を避けるようないい物件を見つけるべく、地元の不動産屋と色んなところを回っている。

 ナイロビだけを見て、アフリカだとは思ってもいけないのだろうが、日本、岩手県から距離的にも心理的にも遠いアフリカ大陸を仕事や余暇などを通じて今後身近に感じていければと願っている。そして読者の皆さんになるべく的確な「アフリカの今」をお届けできるよう心がけていきたい。

「ナイロビ」岩手日報No.577