「IDBと震災」岩手日報No.121

2011年6月12日

 米国でも大震災の支援でさまざまな活動が行われている。私が勤務する米州開発銀行では日本人職員有志が中心となって千羽鶴を折り、カフェテリアで昼食時などに募金をした。「被災者との連帯感を届けたい」と開発銀行のペルー事務所のスタッフも105羽の鶴を折ってくれた。

 被災地支援のYAKISOBAランチやチャリティーのサルサダンスパーティーなども行い、4月下旬まで約2万1千ドル(約180万円)が集まった。義援金としてピースウィンズジャパン、日本障害フォーラム(JDF)、ワールドビジョンジャパンの3団体に送った。

 さて今年は国際森林年だ。昨年の国際生物多様性年に続く行事で、それはニューヨークの国連本部会議場で年初に開かれた第9回国連森林フォーラムでスタートした。私も米州開発銀行とメキシコの森林国家委員会の共同発表会開催と、中南米諸国森林政策関係者との会合のため参加した。

 国際森林年の今年、世界の森林の持続可能な経営、保全の重要性に対する認識を高めるため、積極的な取り組みや国内委員会の設置が各国に求められている。

日本の被災者への連帯の気持ちを込めて千羽鶴を折る米州開発銀行ペルー事務所のスタッフたち

 今年9月には第66回国連総会で特別ハイレベル・イベントが開催される。私が担当している中南米諸国の森林セクターは、植林やパルプ製紙業界への融資など以前からの取り組みに加え、温室効果ガスの排出量削減を課題にしている。

 昨年からは、途上国の森林減少や森林劣化に由来する温室効果ガス排出量の削減(REDD+)にも取り組み、熱帯林の管理に苦労している中南米諸国への支援を強化している。中南米諸国へ、より積極的な支援をすべく「今年1年、頑張っていきたい」と気を引き締めている。

 京都議定書以降の気候変動枠組み条約を決める国際的な議論は昨年のCOP16(カンクン・メキシコ)以降も、今年11月開催予定のCOP17(ヨハネスブルグ・南アフリカ)、来年のCOP18(リオ・ブラジル)に向けて努力が続けられている。

 前回の国際森林年は26年前の1985年だった。熱帯林の急激な減少や酸性雨などによる森林の減少や劣化といった地球規模での問題解決が議論された年でもあった。

 今回の震災では福島第1原発で大事故が発生し、「脱原発」の動きが広がっている。各国が温暖化防止とどう両立させていくのか。重要な課題が突きつけられている。

「IDBと震災」岩手日報No.121