ケニアの新幹線?

 鉄道大好きの人なら一度は乗ってみたくなるであろう、モンバサとナイロビ間を走る鉄道路線に5月13日、初めて乗車してきました。日経BPという雑誌でも2019年に特集で取り上げられている中国の援助で完成した路線です[1]。地元では「マダラカエキスプレス」と呼ばれる標準軌間(SGR)[2]の鉄道で、2017年5月末に開通しました。モンバサ―ケニア間の約472kmを最短4時間40分で結んでいる人気路線です。工事期間は3年半という突貫作業で、事業費は約38億ドル。そのうち9割を中国輸出入銀行が融資し、中国交通建設集団(CCCC)が建設を請け負ったとのこと。一等車と二等車があり、ホテルのパックでは一等車だったことから、遠慮なく高級そうな一等車に乗ることにしました。左右2列づつの配置で足元にも余裕があり、リクライニングになります。中国製の車両なので英語と中国語が併記された説明が至る所にあり、消火器やトイレも然り。開通してもう5年になるので座席やトイレもへたってきていましたが、それなりに快適でした。

 また、車内販売があり、暖かい飲み物やサンドイッチ、お菓子などを数回販売に来て乗客も結構購入していました。そして何よりも嬉しかったのが、帰りの列車(5月15日)は1号車が食堂車になっていたことです。窓越しの眺めもよく、ビールを飲みながら談笑している乗客で満席でした。日本でも、昔の国鉄時代には寝台特急や食堂車付きの長距離列車があったことを思い出しました。

 ケニアに来てからも、普段の出張は車での移動が多く、「こうやって列車でノンビリ移動できるのは嬉しいねえ」、と同乗していた友人たちも満足げでした。スマホの充電も出来るように各座席の窓際にコンセントもあり、揺れも少なく、パソコンを広げて仕事をしている(ビデオを見ている)乗客も結構いました。

 難を言えば、出発の一時間前までに駅に着いてセキュリティチェックを受けないといけないこと。これはまるで飛行機並みの面倒くささ。しかもうっかりスイスアーミーナイフを荷物に入れていたので、ナイロビ駅では危うく取り上げられそうになり焦ったりしました(何とかして持ち込みましたが)。 その日はVoiという町で降りることになったのですが、景色を眺めたり本を読んだりと楽しい4時間の旅。これで一等車でも片道2130シリング(凡そ2200円)、2等車だと片道700シリングと格安。日帰りで往復してもいいかなあと思っているこの頃です。近い将来には、ナイロビから西部ビクトリア湖岸のキスム、そしてウガンダまで建設が予定されているこのSGR。ケニア政府への債務過多という状況で新規投資が難しい昨今ではあるが、早期着工建設が多くの人から望まれている。どうなりますやら。

[1] https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00020/022800001/
[2] SGR: Standard Gauge Railwayと呼ばれ、日本の新幹線と同じ1435mmのレール幅