「森のひみつ木々のささやき―ふつうの人が森へ行く日」 (小山浩正著)
2025年11月4日
故人・小山浩正くんの遺稿シリーズ
大学の同級生で、1年目の教養学部時代から同じ学科に移行し、同じ研究室(造林学講座)で共に過ごした小山くんが癌で亡くなってこの3月(2018年)にもう2年が経とうとしています。山形大学農学部でいろんな研究(ブナの生態学等)をする一方で、市民を対象に啓蒙活動なども継続し、地元の新聞である庄内日報にも、山形大学の同僚と共同で定期的に記事を掲載していました。亡くなる直前にその記事をまとめた本『森のひみつ木々のささやき―ふつうの人が森へ行く日』が山形大学から出版されおり、その一冊を友人から分けてもらったのですが、なんとも味のある文章で読者をグイグイ惹きつける書き振りです。
「もう彼の文章も読めないなあ」と、諦めかけていたのですが、同じ講座出身の杉本君から年末にメールが届き、「彼のお母様から預かったのだが、書き溜めておいた遺稿が掲載されていた」と言って、14回分のコピーを共有してくれたのでした。なんと、彼が亡くなった3日後の2016年3月13日から昨年12月16日にかけて定期的に「森の時間」という題目で庄内日報に掲載[1]が続いており、なんとも嬉しい彼の置き土産です。彼の幅広い観察眼と洞察力が文章の所々に溢れており、こうやって庄内の地元の人々に森の価値を再認識してもらおうと小山君は頑張っていたんだなあ!と改めて敬意を評したくなりました。
本当なら一緒に演習林にでも出かけて夜にお酒でも飲みながら、馬鹿話をしたいのですが、あの世に行ってしまったので願うべくもありません。もしこのシリーズを読みたい人がいるようでしたら、別途こちらまで連絡下さいませ。
[1] https://www.tr.yamagata-u.ac.jp/archive/morinojikan.html

(オランダ通信 2018年1月号 *2018月1月31日発行から)
出版情報:山形大学出版(2016)

